潔癖症の人はどんな生活をしているのでしょうか?
皆さんは、潔癖症というのを聞いたことがあるかと思います。
テレビで坂上忍や田中みな実も潔癖症と発言しています。
しかし彼らの潔癖症に関するエピソードを聞いているとそれほど深刻ではないと思いました。
私の母も潔癖症です。
親が潔癖症で私は子供時代に、非常に特異な生活を余儀なくされました。その時の話を書きます。
目次
潔癖症の発症
それは突然でした。
今から30年近く前の話です。当時私は小学生になっていなかったと思います。
母は気の強い性格。
父の実家に帰省する事になりました。
母は父の実家に帰省するのが嫌だったようです。
それでも父の親戚が集まることになり、父の実家近くの民宿に泊まる事になりました。
風呂が汚い
その民宿の風呂が汚かったのです。汚いといっても、もちろん民宿の風呂ですから、露骨に汚れているわけではなく、老朽化しており、汚れが少し目立つ風呂でした。
風呂が汚い!何だこの旅館は、とたいそう御立腹でした。
そして次の日から潔癖症が始まったと記憶しています。
父の実家の部屋の片隅にしか座らない
次の日から父の実家を訪れました。父側の親せきがたくさんいました。
母は、ある部屋の角の50cm四方の空間に座ったきり全くそこから動きません。
何故ならこの家(父の実家)は汚いからだといいます。
そしてトイレに行くときは、なんと、
つま先立ちで部屋の中を移動しています。
それから母の潔癖症は加速していきました。
潔癖症の母にとって汚い物
海水浴は汚い
例えば、海水浴に行きます。海水浴は母からすると汚い場所です。
汚い場所にいた人間、すなわち我々、を家の中に入れるのは母の最も嫌な事です
家につくと、母だけ家の中に入ります。
父と私と弟は家の外で待ちます。
母が新聞紙を玄関から風呂場まで道を作るように敷いていきます。我々は持っている荷物を母に渡し、風呂場に直行します。
荷物を間違って落とすと
荷物を間違って床に置いてしまうとそこは汚い場所になり、踏んではいけない場所になります。
狭い家の中でです。
受け取った荷物を母は濡らしたキッチンタオルで丁寧に荷物を拭ききれいにします。家の中においていいことになります。
見た目が汚れているわけではありません。
拭くことによりばい菌、細菌を除去しているイメージです。
ちなみに踏んではいけない場所は、母が拭き掃除をします。拭き掃除をしても綺麗になるわけではないので、汚い場所だとわかるようにキッチンタオルをガムテープで張ります。
その後、数日から数か月拭き続け、ようやくきれいになったことになります
そうするとキッチンタオルははがされます
風呂から出ても
さて玄関から風呂へ直行し、風呂から出ます。風呂からでると目の前に新聞紙があるのでそれに触れないように出ないといけません。
もし風呂にはいる時に使った新聞紙が少しでも足に触れると、足の洗い直しになります。
新聞紙は結構、幅があるのでそれを踏まないようにジャンプして家の中を移動します。
家の外が汚い
こんな感じで家の外は汚い世界という認識が母にはありました。
外から帰ると着替えと風呂は必須でした。風呂場へは新聞紙を引いたり、
新聞紙を敷かない代わりに靴下だけを玄関で脱いでそこからつま先で風呂場まで移動したり、母が一番清潔であると考える方法がとられました。
大きい方のトイレに行ったら風呂へ直行
大きい方のトイレは最強レベルで汚いことです。大きいトイレをした後は、手を3回洗います。
石鹸を使わず手を洗い。
石鹸を使い手を洗う。
最後に石鹸を使わず手を洗う。
ちなみに手を洗う前に水道の蛇口を開けるのは母です。
汚い手で蛇口を開け、手を洗った後に蛇口を占めると汚い蛇口を最後に触ることになるので意味がありません。母が事前に開けておきます。
最初に石鹸を使わずに手を洗うのはそのまませっけんを使うと石鹸が汚れるからです。
手を洗う時間は短すぎてはいけません。母が今、手を洗う時間は短かったのではないか、というと洗い直しです。
いやそんなことはない、ちゃんと洗ったよと言っても無駄です。
母はなんでちゃんと洗ってくれないんだと半べそで怒り出すのです。
ちなみにトイレの後、手を洗わずにドアノブを触るとドアノブが汚れるため我が家のトイレのドアは常に開けっ放しでした。
大きい方のトイレが終わり手を洗い終わると
大きい方のトイレが終わり手を3回終わりました。さて、その後は必ずそのまま服を脱ぎ風呂です。
大きい方をしている最中、大便のばい菌が空中に浮遊していて、それを全身に浴びてしまった、そのばい菌を洗い流すイメージです
汚いものを取り除くための母の対策
朝から晩まで家事に追われ手を洗いまくっていた母
とにかく母は洗面所にこもり手を洗っている印象でした。手はガサガサでいつもひび割れていました。
手を拭くのはティッシュ
手を洗った後拭くのはティッシュです。タオルで服と汚れがタオルに移るという感覚のため手を洗った後は必ずティッシュで手を拭きます。
我が家のごみ箱はキッチンの下に置いてありました。
何かにつけて手を洗っていた母は、洗面所で手を洗い、手を洗ったあとティッシュを捨てるためにキッチンへつま先立ちで移動する。
ゴミ箱は汚い
ゴミ箱もトップクラスで汚いものです。手を拭いたティッシュをゴミ箱に捨てるときはゴミ箱から1m以上離れたところから投げ入れるようにいわれました。
母のティッシュ消費量は膨大でしたのでゴミ箱はすぐ満杯になります。
満杯のゴミ箱に手を拭いたティッシュを投げるとどうなるか、ティッシュはゴミにはじかれ、床に落ちます。
そうなると母はパニック。
泣きながら床の拭き掃除と手洗いを繰り返します
確実にゴミ箱にゴミを投げ入れなければ行けません。
1m離れてティッシュ山盛りのゴミ箱にティッシュを投げ入れる場合、心理的にティッシュを離す所を極力的であるゴミ箱に近づけたくなります。輪投げをイメージしてもらうとわかります。
手がゴミ箱にそうですね、30cm以上近づくと、手が汚れたことになり手を洗い直すことになります。
床はキッチンタオルだらけ
何か汚いものを床に落とすと吹いてからキッチンタオルを貼る。
汚れがひどいときにはその一角のカーペットをカッターで切り取って、カーペットの下の床を拭きその上にキッチンタオルを貼る。
我が家の床には30cm四方のキッチンタオルが至る所に貼ってありました。
子供の頃の母の印象はと聞かれれば、朝から晩まで洗面所にこもり手を洗う母の後姿です。
洗濯は2回か3回
服の洗濯も同じ服を2回か3回くらい洗っていました。一日の洗濯でです。
上のシャツ、ズボン、下着それぞれ分けて洗います。
下着と一緒にシャツを洗うとシャツが汚れるという感覚です。
洗った服を干す前に間違って床に落とすと、その床が汚いところになります。洗濯を続けるか、床の拭き掃除をするか、汚れの度合いによって変わります。
床の拭き掃除をする場合は、1回だけ洗った服をまずどこかに仮置きします。床に直接つかないようにバケツか何かの上に置き、そして自分の手を洗い、床拭きをして手を洗い、汚い場所であることを示すためのキッチンペーパーを貼って手を洗い。それから残りの洗濯物の2回目、もしくは3回目になります。落とした洗濯物は場合によっては洗い直しです。
母の中でも何がきれいで何が汚いのかわからなくなっており、よく泣いていました。
父と母のケンカが増え離婚
最初は父も母のやっていることに従っていました。
私は子供でした、親の命令には純粋に従っていました。手を洗えと言われれば洗い、洗い直しと言われれば手を洗いなおしました。
しかし父は違います。大人です。母との衝突が増え、父は家を飛び出し、そのまま離婚したのは今思えば自然なことでした。
コメント
記事を読ませていただきましたが、私の母に見られる行動と似たものがあり
「他にも同じように大変な思いをしてる方がいるのだな」と思いました。
私の母親も重度の潔癖症で同居する身としてはとても苦労しています。
私の母は何年も前から軽い潔癖症の様子が見られましたが、定年退職して以降、
外に出て他者と生活することもなくなり症状がさらに強くなりました。
例えば今では私がキッチンで料理することも許してもらえませんし、
私が手を洗う際も水道のハンドルは母親が操作して手を洗わなければなりません。
娘の私ですら物に触れることが許せなくなっているのです。
母がいる場所ではすべて母親の指示で動かなければいけません。
母が「手を洗って」言えば手を洗う。母が「動かないで」と言えば動かない。・・・
(それを無視すれば怒って面倒なことになるので従うしかありません。)
一番厄介なのは母に潔癖症だという自覚がないことです。
テレビで潔癖症のタレントの様子を見ても「この人は潔癖症と言われてる。
だから同じことをしている自分も潔癖症なんだ。」と考えるのではなく、
「自分以外にも同じような人がいる。自分がやっていることは普通なんだ。」と考えてしまいます。
こちらが指摘をしても病院に行くのを嫌がり聴く耳を持ちません。
病人扱いされるのも嫌がりすぐに癇癪を起すので、私も母に「おかしいよ。病院に行くべき。」と指摘するころが出来なくなってきました。
全くの他人であればとっくに縁を切っているはずですが、血の繋がった親子なのでそんなことはできません。
ですが私もマトモな生活が出来ずとても息苦しいです。
今お金を貯めて家を出ようと考えています。
yumiさん
コメントありがとうございます。
お母様に潔癖症の自覚がないことを除くと私の母と非常に似ていますね。
母の潔癖症発症から30年以上経過していますが、この間初めて、母に病院に行くことを進めました。
今までは母に合わせ、母と距離を取るだけでした。
70歳近い母の残りの人生が少しでも生きやすくなって欲しいから病院に行ってほしいと、
母に伝えました。
結果は母の怒らせただけでした、その後も何度か病院に行くことを勧めましたが母の気持ちは変わりませんでした。
自分は苦しいがこのままでいい、とにかく放っておいてほしいという事でした。
母は潔癖症であることを除くといい母であるだけに残念でした。
私も家を出、私の父も家を出、私の弟も家を出ました。
母は私と弟の嫁からも距離を置かれています。
母から見て孫と接する時間も非常に限られています。親の姿を見て孫もそれなりの距離を取るようになるでしょう。
yumiさんがお母様に合わせる生活をし続けて体を壊すよりは、家を出られるのは正解だと思います。
お母様もさみしいでしょうが、家を汚されず気が楽になる面もあると思います。